可愛い名刺、すてきな名刺

大概の社会人にとって、名刺はコミュニケーションの最初に交換するものである。そこでは、可愛い、素敵な絵柄の出る幕はなく、いかに自分自身の身分を過不足なく伝えるか、それだけが問われる。しかし、可愛い、おしゃれな名刺の出番がないかというとそんなこともない。例えば、ポップな雑貨店の店長が、客に配るカードならば、可愛い、綺麗なイラストをあしらったデザインの方が印象を強く残すだろうし、イラストレイターのような、発想やデザイン力を問われる職業の人間が可愛くも面白くもない、無味乾燥な名刺を配っていたら逆に違和感があるだろう。では、我々一般人に可愛い名刺を配る機会は永遠に訪れないのだろうか。無論そんなことはない。趣味の仲間や同好の士の、くだけた間柄の場にならば、可愛いデザインの居場所はもちろん存在するのだ。


しかし、普段から可愛くも愛らしくもない、デザイン界隈に縁もない人生を送っているものには、どんな名刺を配っていいものかは悩みどころである。失礼にならず、嫌な印象も与えず、それでいて自分を強く印象づけるためには、一体どうすればよいのだろうか。まず、主客を転倒させないこと。ありがちなミスであるが、デザインばかりが前面に出て、自分が何者なのかを伝えきれていない名刺をしばしば見かける。互いの立場が明確である仕事の場とは違い、趣味の間柄では、互いがどういう人間であるのかが全く不明瞭の、まっさらな状態から付き合いが始まる。よって、まずは自分が何をしている、どういったことに興味を持っている人間であるのかをはっきりと伝えなければならない。あらゆる人間関係と同じく、最初にきちんと挨拶ができなければだめなのだ。デザインに習熟していないなら、写真や絵を全面に入れるのはやめたほうがいいだろう。すでに完成した絵の中に、見やすく文字列を配置するのはずぶの素人にはなかなか難しい。大きな絵を使うのは慣れてきてからにして、最初はワンポイントにイラストを配置する程度に留めておくのが無難である。また、可能ならば、自分の所属、興味を印象づけるような絵を使えるとなお良い。


動物の研究者は自分の研究対象のイラストを好んで使うし、中華料理屋のコックは中国風の龍を名刺にあしらう。彼らに習って自分自身の人柄を表す何かをデザインしよう。顔写真を入れるのも悪くない。自分の人柄と顔を紐付けしてもらえるからだ。それらが難しければ、諦めてプロに頼ってしまえばいい。最近はインターネットで検索すれば、見積もりからデザインまでプロが請け負ってくれる。値段は様々、多く刷れば割引してくれる業者もいるし、出来上がりは折り紙つきだ。